「お前……誕生日なんだってな」 今日はジュドーの誕生日。 カミーユがその事を知ったのはほんの数時間前の事である。 ファが緑色の包み紙に包まれたものを持っていたので何気なく聞いたのだ。 誰かにあげるのか?と尋ねたらファは信じられないと言わんばかりの顔でカミーユを見た。 「今日はジュドーの誕生日じゃない」 「え、そうなのか?」 「もしかして知らなかったの?」 驚いた様子でそう言われ、カミーユは眉を寄せた。 「知ってるわけないだろ」 同じ艦に乗るようになったとはいえまだ日も浅い。以前から知り合いだったファとは違い、 だいたい付き合いが長くても、男同士で誕生日の話になどそうそうなりはしない。 しかもここは軍艦で悠長に誕生日などを祝っている余裕などないのだ。 (ああ、それでも……) つい二日ほど前まで艦はコロニーに停泊していた。その時に誕生日のことを知っていれば、 (いや、待てよ。なんで俺があいつに誕生日プレゼントなんてやらなくっちゃいけないんだ) ジュドーとの出会いは最低だった。 グリプス戦役から一年――――カミ―ユはずっと夢の中にいた。 その夢でジュドーに会ったような気がする。 だけど夢から目覚めた時、どんな夢だったのかカミーユは忘れてしまった。 その為、ジュドーと再会した時、「初めまして」と言ってかなり嫌な顔をされたのを思い出す。 「何で憶えてないの!」と問いただされ、苛立ちから鉄拳をお見舞いしてしまったのも記憶 もちろんジュドーとしても意味もなく殴れては納得がいくはずもなく、気づくと取っ組み合い もちろんその後、二人揃って艦長にみっちり絞られたが……。 罰として廊下に二時間正座させられたのを思い出す。 「まあ、良く考えたら仕方ないかもね……」 一時間が経過した頃、ジュドーがポツリとそう呟いた。 「カミーユさん、改めて俺、ジュドー・アーシタ。よろしく!」 四つ年下の少年は持ち前の切り替えの早さでそう言うとあちこち腫れた顔を歪めて笑った。 手が差し伸べられ、カミーユは戸惑った。 「変なやつ」 カミーユは小さな声でそう呟く。屈託のないジュドーの笑顔にいつまでも怒っているのが馬 「ああ、よろしく」 頷いて、差し出された手を握り締める。 刹那、知っていると思った。 この手を知っている。 「カミーユさん?」 ジュドーが首を傾ける。 「いや、何でもない」 カミーユは反射的に首を横に振った。 知っている。だけど、憶えていないのならば知らないも同然だ。 あの日からジュドーは自分に良く懐いている。 まるで弟が出来たようでカミーユも満更ではなかった。 「誕生日か……」 そう呟きながらデッキへ向かう。 ふと自分の誕生日を思い出した。 誕生日に家族が揃うことなどなかったように思う。 一応ケーキは用意されていたが、仕事の忙しい両親は殆ど家にいなかったから……一人 思えば寂しい誕生日だと思う。 毎回キチンと祝ってくれたのはいつも幼馴染のファだけだった。 思わずため息が零れる。 「何、盛大にため息なんかついちゃってんの?」 突然、背後から掛けられた声に驚いて振り返る。ジュドーが頭の上に腕を組んで不思議そ 「あ…いや……」 急にばつ悪くなる。 こんなことなら誕生日だなんて知らなきゃ良かった。 「べ、別に」 顔を背ければ、勘の鋭いジュドーは「ははん」と声を上げ、意地の悪い笑みを浮かべた。 「何?ファさんとまた喧嘩した?」 「してねえよ」 「じゃあ、何?思いつめた顔しちゃってさ」 相談してよとジュドーが近づいて顔を覗き込む。 「何でもない」 「何でもなくはないでしょ」 「だから……何でもないって……」 そう言った瞬間、真正面に緑色の瞳を見てしまい、カミーユは唇を噛み締めた。 真っ直ぐな瞳。 内側まで見透かされそうだと思う。 「カミーユさん」 名前を呼ばれると無意識に体が跳ね上がる。 (なんで四つの年下のヤツに……) 年下とは思えないほどの威圧感に眉を寄せ、カミーユはチッと舌を鳴らした。 「お前……誕生日なんだってな」 「へ」 「だから、誕生日だんだろ?」 十月十日生まれのB型。 女は誕生日とか血液型とか本当に好きだと思う。 「ああ、まあね。それが何?」 「あ…いや…その…さっき知ったんだ。ファがプレゼント持ってて。でも俺はさっき知ったか 用意していない。 そう言うとジュドーは「ああ」と声を漏らした。 「良いよ、別に」 「よ、良くないだろ!」 「良いって。だいたいカミーユさんから貰えるなんて思ってなかったし」 「何だよそれ!」 そんな風に言われると意地でも渡したくなる。 「絶対やるから覚悟してろ!」 何の覚悟だが自分でも分からないが……ジュドーの目の先に指を突き立ててそう言う。 刹那、腕を掴まれグイッと引っ張られる。 何だ?と思った瞬間、カミーユの唇を温かなものが掠めた。 ほんの一瞬。瞬きよりも早いキス。 「なっ」 気づいた時にはジュドーの姿は既に離れていた。 「プレゼント、確かに貰ったからね〜」 陽気に手を振ってジュドーが去っていく。 我に返ったカミーユは顔を真っ赤に染めて、去っていく後姿を見つめていた。 「あいつ……」 そっと指を唇に押し当てる。 唇に残る微かな感触。 「バカ……」 嫌だとか、気持ち悪いとか思っていない自分に苦笑いを浮かべる。 多分、それは……相手がジュドーだから。 「あのバカ……」 胸に広がっていく感情にカミ―ユの顔がよりいっそう赤くなる。 「おめでとうも言えないじゃないか」 小さな声で呟いてカミーユは瞳を伏せた。 ずーっと我慢してたんですがジュドーの誕生日に思わず書いてしまいました。 この頃、関ジャニエイトのCDにハマって、掠め取るような瞬間キスに萌えてました! ジュカミはいろいろ妄想が広がります! |
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