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※パラレル設定です。 あちらこちらから聞こえてくる音楽。 煌びやかに彩られたイルミネーションの間を潜り抜け、ナルトは白い息を吐きながら走った。 今日は久々にサスケが帰ってくるのだ。 仙台の大学に通うサスケとは春以来会ってはいなかった。 (夏休みもバイトと合宿で帰ってこなかったし……) 今日をどれほど待ちかねたか知れない。 (サスケ!) ナルトは腕時計に目をやった。 時刻は18時丁度。約束の時間だ。 待ち合わせしている駅まであと少し。 (この角を曲がれば……) 駅が見えてくる。 広場には大きなクリスマスツリーのイルミネーションが華やかに光を放っている。 その下にはカップル達が寄り添い、写真を撮ったりしていた。 賑わう広場を横切り真っ直ぐ駅の改札へと向かう。 見覚えのある姿を見つけ、ナルトは顔を綻ばせた。 「サスケ!」 良く通る声で彼の名を呼ぶ。 ナルトの声にサスケは手にしていた携帯から目を離し、顔を上げた。 「遅いぞ。二分遅刻だ」 「悪りぃ、急いんだんだけど中々抜けられなくてさ」 大学に進んだサスケとは違い、高校を卒業後、ナルトは地元の鉄工所に就職した。 アットホームな会社で社長も先輩も良くしてくれる。 まだ失敗することも多いが、毎日充実した日々を過ごしている。 不満はない。 だけど時々思うのだ。 ここにはサスケがいない。 ずっと一緒にいた時から隣いたサスケがいないのだ。 ナルトとサスケは血の繋がらない兄弟である。 ナルトが三歳の時、両親を事故で失い、遠縁のサスケの両親に引き取られたのだ。 血の繋がらない同じ年の兄弟。 サスケの方が三ヶ月ほど年上ということもあり、いつも兄貴面するのにナルトは反発ばかりしていた。 何よりサスケは優秀で女の子にも良くもてる。その点、自分はどちらかと言えば落ち零れで何をしてもサスケに勝てた記憶はなかった。 顔も綺麗で頭も良い。スポーツも得意なイケメンを女の子が放っておくわけがない。 サスケの下駄箱はいつもラブレターでいっぱいだったのを思い出す。 一年経ってもサスケの端正な顔は変わらない。 黒い瞳がまっすぐにナルトを見つめる。白い指先がチョンと赤くなったナルトの鼻先を弾いた。 「猿見てぇ」 「う、うるせい!」 顔を赤く染めて唇を尖らせる。 するとサスケが小さく笑った。 「走ってきたのか?」 「おう、全速力だってばよ!」 ガッツポーズで答えれば「なら、許してやるよ」と呟いて背を向ける。 「おら、行くぞ」 「あ、うん」 長い黒のロングコートを翻すサスケの後ろ姿を見つめながらナルトは冷たくなった鼻の頭を擦った。 クリスマスイルミネーションの中を二人並んで歩くと去年のことを思い出す。 一緒にいられる最後の冬休みだったのに、お互いにバイトが忙しくクリスマスイブまで一時間が作れなかった。それも思いきりナルトが遅刻したのだ。 もう帰ってるだろうと半ば諦めに近い気持ちだったのに、待っていてくれたサスケに胸が熱くなった。 あの時、ナルトはずっと秘めてきた思いを打ち明ける決心をしたのだ。 嫌われるくらいなら兄弟でいた方が良い。 そう思っていたのに……サスケが遠くに行ってしまうかもしれないと思うと堪らなくて……。 だけど結局告白は出来なかった。 サスケは絶対白だ、とオフホワイトのマフラーをプレゼントしたのを思い出す。サスケはその時、自分の手袋の片方をナルトに貸してくれた。 気持ちを伝えちゃいけない。 本当は一緒にこうしていられるだけで満足しなきゃいけないって分かっている。 でも……。 チラリとナルトはサスケの横顔を見つめた。 離れている間も気持ちは募るばかりだった。 告白しようと決めたが、卒業旅行でもチャンスがなく、引越しで結局バタバタしていて気づけば一年が経ってしまった。 だからサスケからクリスマスに帰ると連絡を貰ったとき、今度こそ告白しようと決めたのだ。 「なあ、サスケ」 ナルトはサスケを呼び止めて腕を掴んだ。 「ちょっとだけ良いか?」 サスケが不思議そうな顔をする。 「付き合って欲しいところがあるんだってばよ」 そう言うとサスケは白い息を吐きながら仕方ないなとばかりに頷いてくれた。 ナルトがサスケを連れてきたのは自分の仕事場近くのビルの屋上だった。 ここから見る景色が好きで、告白するならここにしようと決めていたのだ。 「俺……」 思い切って口を開こうと瞬間、サスケの白い指がナルトの口を塞いだ。 「言うなよ」 顔を真っ赤に染めて声を漏らす。 「分かってるから……」 そう言うととサスケは交換するように自分のマフラーをナルトに首にそっと掛けた。 マフラーの端を掴んで引き寄せる。 ほんの一瞬、ナルトの唇にサスケの冷たい唇が触れた。 「サスケ……」 「これで良いんだろ、ウスラトンカチ」 マフラーに顔を埋めてサスケは顔を逸らす。 ナルトはそんなサスケをキュッと抱きしめた。
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