ジレンマ



 暁との激しい戦いは俺の肉体に深い傷跡を残した。
里に帰ってから数日が経っていた、俺はまだ満足に動くことができず、一日の殆どの病院のベッドで過ごしていた。
 そんな俺にナルトは毎日まめに通ってきては下らない話をする。
 ほとんどが日々の日常の本当にたわいもない話だったが……。
 話を聞くたび離れていた三年近い年月がとても長いかったもののように感じられた。


「でさ、その時さ」
 ナルトが楽しそうに話をする。
 大半は自分のことだったが、サクラやカカシ、イルカや自来也の話も良くでてくる。
 中でも自来也のことを良く話した。
 ナルトにとってその四人は自分と同じくらい大切な家族のようなものなのだろう。
 家族という繋がりが大切だってことは自分自身が一番良く分かっている。
 だから裏切られた時何よりも悔しかったし憎かった。
 でもナルトにはそんな家族がいない。
 愛情を裏切られることもなければ、与えられることもなかったナルトにとってあの自来也とかいうやつの存在は親…いやさしずめ祖父と言ったところだろう。
 女好きで振り回されるとボヤキながらもどこか楽しそうだ。
 イタチが死んで里に戻ってからのここ数週間、俺は離れていた時間を痛感した。
 特にナルトを取り巻く人のあいつを見る目が違う。
 昔からナルトにとって親代わりのような存在だったイルカはともかく、自分がいない間に共に任務をこなしたのだろうシカマルやキバも親しそうにナルトを構うし、ネジやシノまで妙に馴れ馴れしい。サイとかいう奴はこれ見よがしにナルトに触っては俺をチラリと見て挑発しやがる。
 サイはハッキリ言って嫌いだ。
 それ以外は別に嫌いというわけではないが……。
 「だからよう、エロ仙人てばよ」
 とはいえ、最近口を開けば自来也の話ばかり。
 聞けば俺のいない間二人で修行の旅に出ていたらしく、今も里に留まっている間は当たり前のようにナルトの家に寝泊りしているらしい。
ナルトの話しから察するに自来也はナルトにとって祖父のよう存在だろうと思う。
 そりゃ俺にだって認めて欲しくて、母や兄に父の話ばかりしていた時期もある。
 ナルトにとって兄弟のつもりは俺だけだろうから、ついつい俺に愚痴を零してしまうのも分かるのだ。
 そう全部分かっている。分かっているんだが……。
 イライラする。
 自来也がどうとかじゃなくて、ナルトが俺以外の奴の話を楽しそうにするのがなんとなくイラつくのだ。
 子供じみた独占欲だと自分でも呆れるくらい。
 多分、病室から出られないからこんなこと思うのだ。
 このベッド以外何もない空間でぼんやりと時を過ごすことは俺にとってかなり苦痛だった 
「でさ、そんでさ」
 話は里のスナックの話になった。
「あのおばちゃんの化粧の匂いがすごくてさ」
「お前、スナック行ったのか?」
 俺が尋ねるとナルトが少し引きつったように顔を歪ませる。
「行ったんだな」
「行ったって言ってもほんの数分だってよ。金持ってないから迎えに来いって言われてよ」
「中に入ったんだな」
「す、座っただけだってばよ」
 ナルトが真っ赤な顔でしどろもどろにそう答えた。
 全く、あのエロ仙人は……ナルトに余計なことばかり教えやがって…と俺は小さく舌打ちした。
「サスケ怒った?」
 ナルトが黙りこんだ俺の顔を覗き込む。
 間近で見つめられて俺はバツが悪く顔を背けた。
 それなのにナルトのヤツ、俺の頬を両手で押さえて顔を合わせる。
 至近距離でみるナルトの瞳に俺の胸がドクンと音を立てた。
 ナルトはニッと笑うと俺の唇に軽く口付ける。
「なっ」
 お前、そういう奴だったか?
 昔は手を繋ぐだけで大騒ぎしていたのに……。
 俺は思わず驚きの声を漏らした。
「えへへ。サスケだ」
 意味不明なことを口走って俺をギュッと抱きしめた。
「お前なあ…」
 さっきまでムカついていたのに、なんかそんなことどうでも良くなる。
 俺を包み込む腕。逞しくなった体。背も随分高くなって俺とあまり変わらなくなった。
 確実に時は経っているのに。
 この腕は信じられると無条件に思ってしまう。
 「サスケ、もうどこにも行くなってばよ」
 ナルトの言葉が胸に痛い。
俺は何も言えず静かに瞳を伏せた。


−END−



ギャクを書くつもりが思いっきりシリアスになってしまいました。
サスケ視点で書いたのが失敗?
なんかナルトハーレムな話が書きたくて堪らないです。
みんなに愛されるナルト。
ナルトって罪なヤツですよね〜(笑)