空と風と太陽





 春の太陽は心地よくて眠気を誘う。

 特に修行の合間の疲れた体にこの心地良い陽気と少しひんやりとした風が気持ち良い。

 流れる雲を見つめていた瞳がぼやけて、だんだんと重い瞼が圧し掛かかり……眠りへと誘われていく。

 今頃――――薄れていく意識の中でナルトは思った。

 あいつはどうしてるだろう。

 必死になってあいつを追いかけている自分。

 だけどあいつもうちはイタチを追いかけて必死になっているはずだ。

(修行してんだろうな?)

 どんな修行をしているのだろう。

 もしかしたら自分と同じように休憩中で、こんな風に同じ空を眺めているかもしれない。

(あいつに限ってそれはないか)

 何事も始めると限界まで頑張るヤツだから。

 だから自分もいつも焦って修行する。

 必死に追いかけて、追いかけて。でも、自分が強くなった分だけ、強くなっているあいつがいて――――。

 だけどそれが嬉しいなんて言ったらサスケは露骨に嫌な顔をするに違いない。

 自来也の修行はいろいろ理不尽なこともあるけど結構楽しいし、あいつに言わせたら甘い修行なのかもしれない。

 でも絶対強くなる。

 強くなって絶対追いつくから――――――。

 薄れていく意識の向こうに額あてをしたサスケの姿が浮かぶ。

 サスケは不敵に笑っていた。

(そうだよ。その顔だってばよ―――)

 忍者学校時代、第七班になってからもいつもサスケは少し人を馬鹿にしたような不敵

な笑みを浮かべてナルトの前にいた。

(強くなる。強くなって迎えに行くから)

 今度こそサスケを捕まえていられるだけの力を手に入れてみせると思いつつ春の陽気にナルトの意識は睡魔に飲み込まれていった。





「全くのう」  

 野原に大の字になって眠る弟子に自来也はやれやれと肩を竦める。

「まあ、この技の完成には気力が多く必要だからの」

 まだナルトには早いかもしれない。そう思いつつナルトに希望を見出している自分に自来也は苦笑いを浮かべる。

「お前なら大丈夫だ」

 きっと自分と大蛇丸のようにはなるまいと無邪気な顔で眠るナルトの傍らに自来也はそっと腰を下ろし雲ひとつない青空を見上げた。



 

※おまけ※



ふとサスケは誰かに呼ばれたような気がして外に出た。

暗い大蛇丸の棲家から出ると眩しい日の光が目に飛び込んできて―――――思わずサスケは手を顔の前に翳した。

雲ひとつない澄んだ青空。

小鳥の囀りに、暖かい日差し。少し冷たい風が頬を掠め春の陽気を感じ、あれからもう一年経ったことを思い出させる。

(強くなっただろうか)

 きっと今頃必死になって修行しているだろう。

(あいつも今、こんな風に空を見ているだろうか)

 自分と違い、日の光の似合うヤツだ。

 きっとこの空の下、体いっぱいに光を浴びているだろう。

(俺は強くなったぜ)

 お前がどれほど強くなろうと俺は前を走り続けると決めた。

 そして必ず今、自分の前を走る者達に追いつき追い越してみせる。 

(だからついて来い、ナルト)

 どこまでも――――――。

 風がサスケの肢体に絡みつく。

 春の風に包まれながら……サスケは空を仰いで瞳を閉じた。


?END?



拍手SSです。

ゲーム版ナルトのマスターモードの冒頭に萌えて書いちゃいました。

黒いTシャツのナルトにクラクラです。